不定期連載 ヒロシマ日記<29>ローマ教皇フランシスコ来広

2019年11月24日、ローマ教皇フランシスコが広島を訪れました。

ローマ教皇の被爆地訪問は、ヨハネ・パウロ2世以来、38年ぶりのことです。

 

私は、「真相報道 バンキシャ!」の中で、平和公園から生中継を担当しました。

13億人もの信者を擁し、世界的な発言力を持つローマ教皇が、

被爆地広島からどんなメッセージを発信するのか…。

アメリカとロシアが結んだ「INF=中距離核ミサイル全廃条約」が、今年8月に失効。

イランがウランの濃縮を再開するなど、世界情勢が核軍縮に逆行しつつあるだけに

注目が集まりました。

 

午後6時半すぎ、フランシスコ教皇が平和公園に到着。

その瞬間、2000人の参列者からは、自然と拍手と歓声が上がり、

ヒロシマが待ち望んだ歴史的瞬間であることを実感しました。

お出迎えの方々に対して丁寧に挨拶をされ、諸宗教の代表者や被爆者のもとへ。

お一人お一人としっかり目を合わせ会話し、言葉だけでなく心を通わせているようでした。

 

注目の平和のメッセージは、穏やかな語り口で始まりました。

その言葉は、会場に設置されたモニターに同時和訳で映し出されていきます。

人々は静まり返り、一言も聞き逃すまいという雰囲気でした。

夜空を背に、14分間のメッセージ。

終わりに近づくにつれて、声量が徐々に増していき、熱を帯びていくのが分かりました。

私が印象に残ったのは、

「次の世代の人々が、わたしたちの失態を裁く裁判官として立ち上がるでしょう。

平和について話すだけで、諸国間の行動を何一つしなかったと。」との言葉。

これは、核兵器廃絶に消極的な核保有国への言葉であると同時に、

唯一の被爆国でありながら核兵器禁止条約と向き合うことすらしない日本、

そしてそんな日本に住む私たちにとっても無視できない言葉です。

82歳と高齢の教皇が、夜遅い時間になってでも広島に足を運び

妥協のないスピーチを行ったことは、まさにその“行動”だと思いました。

広島に住む者としてありがたいなと思うのと同時に、

平和のために行動するとはこういうことだなと感じた、歴史的一日でした。