この1冊の本は、広島に住む津谷静子さんが、夫の仕事に同行したことがきっかけで
世界の貧困や戦争のために犠牲となった人たちに出会ってからの20年間の記録です。
津谷さんは「気づいたことが始まりだった」ということを書いています。
この言葉に、去年の夏に亡くなった友人の海渡拓則さんを思い出しました。
彼は海に潜って海底のゴミを拾うボランティアダイバーでした。
もともとは、生まれ育った大好きな瀬戸内海でダイビングを楽しんでいたのですが、
ある時、大量に流れてくるゴミに遭遇し、そこから海に潜る目的が変わりました。
焼け石に水と思えるような手作業で、ヘドロだらけになりながらゴミを拾い
殆どの人に理解してもらえず「どうしてそこまでやるの?」と聞くと
「気づいてしまったから、なかったことにはできない」と話してくれました。
最近、尾道市百島の取材で出会った青年、西野翔梧さんは、自給自足の
生活を目的に島に移住してきました。
きっかけは「世界各地を旅する中で大量生産大量消費のを支えている人
たちの現状に気付いたからだ」と話しました。
自分にできるわずかなことから始めて、その思いを発信したいとHPも作っています。
『イラン毒ガス被害者とともに』にを読んでいく中で、自分自身の身近な人とも重なる
ところがあり、気付いたところから始めてきた人たちの顔が浮かびました。
津谷さんの諦めずに続けていく信念に心動かされました。
8月1日(土)~7日(金)には作者の津谷静子さんの思いに動かされた人たちが
中心となって「広島イラン愛と平和の映画祭」が広島市で開かれます。
広島は被爆70年。広島のことを世界の人に知ってもらいたいと思うからこそ、
この機会にイランの現状を私も知りたいと思っています。