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誰もが通る道ではない

テレビで野球を観ています。

「カープが見たいねぇ」

娘が言ってます。
うん、父ちゃんもそう思うわ。

2015年10月7日。
カープの今シーズンが終わりました。
勝てば3位、負ければ4位。143試合の積み重ねとはいえ、
この1戦をそんなに重くするなんて。野球の神様はやはり「勝負師」です。

この試合、その神様が大きな試練を与えた男がいた。
ベンチで涙が頬をつたう映像はその日のニュースに何度も流れた。
あの場面で涙を流してしまったことの賛否の話じゃない。
とにかくあの日、わずか8球で彼は敗戦投手になり、チームのシーズンが終わったのです。

…0対0の8回、彼はマウンドに上がる前に最初の試練を受けていました。
前田健太の降板がアナウンスされ、背番号14の姿が見えた時、
球場は声援だけではなかった。
ざわつき、どよめき。
以前ある選手は言っていました。

「あの感じは声援よりも大きく聞こえる。
何くそと力に変えられるヤツと、自分が信じられなくなるヤツがいる」

この時の彼がその声をどう感じたかはまだ聞いていません。
ただ、それから数分のち、
ざわつきを歓声に変えられないままマウンドを降りました。
温かい拍手もむけられた。
けど、厳しい叱咤も飛んだ。
そりゃプロの世界です。万全でなくても、結果に対して正直な反応が来る。
様々な言葉、声にならない声を浴びながらベンチ横で、
次の中崎が出てくるまで待ち、一声かけて彼はベンチに座りました。
スタンドからは14番の背中がはっきり見える。
しばらく叱咤激励は続きました。
結果この回チームは3失点。
後を受けた中崎がベンチに戻ってくるのを出迎え、また一声かけました。
普段であれば、そのまま一度ベンチ裏に下がる。アイシングなどのケアもある。
しかし、彼は再びベンチに座りグラウンドを見つめていました。
もう涙はない。
このまま声を枯らしチームを鼓舞するのか。いや動けないのか。
結局、トレーナーに促されるまで、彼はベンチに座り続けました…。

叱られて叱られて偉くなる。叩かれて叩かれて強くなる。
カープの選手なら一度は目にしているあの言葉です。
大瀬良大地。今季の厳しい道のりは最後まで苦しく、辛い。
しかしこの道は、名選手が一度は通った道なのです。